2012年02月04日

父の死

父の死は突然でした。

2006年9月。

くも膜下出血です。
倒れて、1週間目の朝、逝ってしまいました。

救えた命です。

脳の中の血管に瘤は見つかっていたんです。
そして、この瘤の除去手術をあの世界的名医 福島孝徳先生に執刀してもらうことも決まっていたのです。

なのになぜ?



その年は、88歳のおばあちゃんが先に具合が悪くなって入院したんです。

そして、父と母は決めたそうです。
ばあさんが元気になって退院してきたら手術を受けよう・・。

いい先生に手術してもらえるそうだから・・。って。


6月に入り、おばあちゃんの様態が急変します。
主治医から「家族に集まってもらって下さい。」

えーーっ!


みんなに看取られながら大往生で逝ってしまいました。


元気になって帰ってきたら、のはずが・・。
帰ってきてはくれたのですが・・。


それから、お葬式、法事と続きます。
田舎なので丁寧です。


初七日、ふた7・・49日法要。


父の手術はどうするの?


家族で話し合って、

100ケ日法要が済んでおばあちゃんがお墓に入ったら・・。

って事になりました。


予定通りであれば、9月の末です。


でも、


間に合わなかったのです。

瘤が、血管の中でそれより先に弾けてしまったのです。



時限爆弾を脳の中に埋めたままの生活。
本人にとってもストレスだったことでしょう。


お酒も控えてはいたようですが飲んでいたようです。
タバコも辞めるような人ではありません。


仕事も頑張ってよくやってくれました。


9月6日もその日の作業を済ませたあとタバコを一服。
二人で明日の段取りを打ち合わせたあと

「帰るわな。」
「ほな、明日も頼むわな。おやすみ。」

これが親父と最後に交わした会話です。


夜の10時頃だったと思います。


「重久っ!おとうさんがおかしい、すぐ来て!」
母からの電話です。


慌てて走りました。
実家は3軒となりです。


「どうした!?」


目はぼくを追いかけてくれますが声がでない父。


「救急車は?」

「お前に電話するまでに呼んである!」


とても長い時間がたったように思います。
救急車がきました。


父は集中治療室に運ばれました。


先生と話しました。

「くも膜下出血です。すぐに手術になります。」


下着や身の回りのものを取りに行くように支持されました。
先生の部屋から出ようとする時、手術室に入る父とスレ違いました。


「すぐ帰ってくるわな。」
そう声をかけるとうなづいてくれたように思います。


大急ぎで家に帰り、病院に戻りました。
行き帰りにいろんなことが頭を駆け巡りました。


実は、安心していました。
倒れてから病院に運ばれるまでとても早かったこと。
母も同じ病気で倒れたことがあるのですが見事に復帰していること。
あの父が死ぬはずがない。


病院に戻ると、先ほどとは明らかに顔色が違う主治医の先生。

「どうしました?」

「2回目の破裂が起きたようです。」

「どういうことでしょう?」

「もう一度、出血が起きてしまったようです。今頭の中は血液でパンパンです。
 今、開けると圧が急に下がってしまい、かえって危険です。
 手術するには圧がもう少し下がらないと・・。」


あとから聞くと、もう手遅れだったらしいのです。
手術してもムダだったようです。


一週間なにも言わず、一言も告げずに父は逝ってしまいました。

せめて、一言ぐらい・・。


最後に一言「お母ちゃんを頼むでよ。」ぐらいは頼んでから逝って欲しかった。



人の生き死はタイミングもあるのだとつくづく思いました。

もう少しばあちゃんが早く天国に行ってたら父は手術できたかもしれない。
もう少しばあちゃんが長生きしてても・・。

人生はタイミング。

今しか変えられない。


2006年9月13日。


父は死にました。


後にある人からこんなことを聞きました。

父親はいろんな意味で自分にとって最高のタイミングで死ぬものだ。


そうかもしれない・・。



そう思えてしかたがないのです。


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